ヒラギノ明朝体見本

●ヒラギノ明朝体●

【大日本スクリーン製造 原字制作:字游工房/1993〜】

写研の流れを汲む明朝体

 この書体は、写植会社大手の「写研」のOBが創立した「字游工房」で1993年に制作されました。このヒラギノ明朝体は、パーソナルコンピュータ用のデジタルフォントではたいへん完成度が高く、デザイナーに人気があります。私も初めてヒラギノを見た瞬間、(やっとMacで使いたい書体が現れた!)と思ったのです。

 特徴は、ふところ(画と画との間)が広く明るい漢字と、毛筆で書いたようなやわらかな仮名文字です。見出しなど、文字を大きく扱うときにはウェイトの大きい(太い)ものを詰めて組むと非常に美しいと思います。ウェイトの小さい(細い)もので本文を組むと、「リュウミン」(モリサワ)とはひと味違ったしゃきっとした雰囲気が得られます。

 字游工房によると、写真の多い雑誌などを組むために設計されており、文字組全体として見たときに漢字と仮名が均一な濃さになるようにしてあるようです。また、字面を大きくし、字間を詰めなくてもよいようにしてあります。そのため、ベタ組み(文字と文字との間を空けたり、詰めたりしないで文字を配置すること)が読みやすく、かつ美しい書体だと思います。

 個人的には、雰囲気が写研の「本蘭明朝」に似ていると思います。詳しく見ると文字自体はそれほど似ていないのですが、“か”や“な”などに“写研っぽさ”が表れていると思うのは、私だけでしょうか。“た”だけはちょっと引っかかりますが、本蘭明朝を愛用している(していた)方には特にお薦めです。

ヒラギノと本蘭の比較
 2000年、ヒラギノ明朝体は MacOS X の標準搭載書体になりました(ウェイトW3とW6)。初めから完成度の高い書体が付属していることはとても画期的なことで、初心者・プロを問わず美しい書体の恩恵にあずかれるようになったのです(気にしていない人も多いですが)。そう思うと、ヒラギノ書体の存在はとてもありがたいことです。誰もに美しい書体を使う機会が与えられているということは、写植・金属活字が全盛の頃には考えられなかったのですから。……Windows 用にも以前からTrueType 版が発売されていましたが、OpenType 版の発売によってようやく少しずつ認知されてきた気がします。

 写植が衰退しても、字游工房には美しく独自な書体を精力的に追求する姿がある、と強く感じる書体です。既存の写植/活字書体の復刻もいいですが、長く未来に残る(スタンダードとして使われていく、普遍的な美しさを持つ)オリジナル書体をつくることも大切だと思いますが、いかがでしょうか。

 私が知る限りで一番多くの人に知られている使用例は、「はちみつきんかんのど飴」(ノーベル製菓)だと思います。

●ファミリー

ヒラギノ明朝体W3〜W8   1993
ヒラギノ明朝体W2  1998


2004.6.30


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