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写植が普及してきた1970年代になると、様々な新書体が制作・発売されました。写植会社大手の「写研」が1972年、『石井賞』という書体コンテストを始めました。この賞で第1位だったのが「ナール」です。制作者の中村征宏氏は、「エレメント(点画)を強調し、細い線でしかも字面を最大限に生かした(枠いっぱいにデザインした)ことにより、シンプルな“集団の調和”が生み出されると思う」と話したそうです。 従来の丸ゴシック体(石井丸ゴシック体など)はゴシック体の角を丸くしたようなデザイン処理だったため場合によっては野暮ったく見えることもありますが、斬新で独自の字形を持つ「ナール」はその女性的で温かみのある雰囲気から、若い女性向けの雑誌やレコード/CDのジャケット、広告によく使われてきました。またテレビや洋画の字幕に広く使われ、現在でもTBSやNHKではよく使われています。 1970年代初頭から文字と文字との隙間を詰めて印字する「ツメ組み」が流行したことに伴い、ツメ組みしなくても美しく組めるようにと字面が大きく設計された「ナール」は判読しやすいデザインのため、確実に情報を読み取ることが必要である電気機器の説明書きや操作ボタンの文字は1980年代から2000年代初頭の殆どの製品で長らく「ナール」ファミリーが使われてきましたし、人命に関わる道路標識では現在でも「ナールD」が標準書体として使われています。 発売当初から非常に需要があったため、最初は極細のみだったのが中太、太と種類が増え、電算写植では極太の「ナール」も発売されています。(デザインが崩れていて好きではないですが。)最近はこの書体を以前程頻繁には見かけなくなりましたが、今でも書体の標準的存在として「ナール」なしでは語れない程の重要な存在になっています。 蛇足ですが、亮月製作所では制定書体を「ナールD」に定めていまして、ロゴや各ページのタイトルなどに使っています。 ●ファミリー ナール 1973(手動写植機専用) ナールO(輪郭をかたどったもの) 1975 2000.6.9 2005.12.16 改稿 |
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