●リュウミン(龍明)●

【モリサワ/1982〜(写植) 1990〜(フォント)】

活字からデジタルフォントまで

 おそらく、iMac以前からMacを使っている人ならよく知っている書体だと思います。古いMacOSには、標準でこの書体がTrueTypeとして搭載されていました。また、DTPではお馴染みで、“基本2書体”として「L リュウミンL-KL」という名前でPostScriptプリンターにインストールされている事も多いです(もう一つは「M 中ゴシックBBB」)。

 この書体はもともと、モリサワの写植機用の書体でした。そのデザインのルーツは、「森川龍文堂」という戦前の活字会社の明朝活字にあると言われています。リュウミンの「リュウ」は龍文堂の「龍」だったのです。写植では「龍明」と表記されました。そういった活字出身のためか、リュウミンは彫刻刀で丹念に彫ったような、シャープですっきりした字形が特徴的です。写植最大手である「写研」の「石井明朝体NKL」によく似ていますが、リュウミンの方があっさりしていると思います。

 ただ、私は、写植書体としては見た事がありませんでした。電算写植書体にもなっているのですが、DTPではない書籍に使われる事はあったのでしょうか。

 しかしながら、PostScriptフォントとしては歴史が最も古く、日本語DTP元年とも言われる1989年にMacintosh用のフォントとして生まれ変わりました。写研が「ソフト(書体)とハード(写植機)は一体である」としてPostScriptフォント化を辞退したという背景も手伝い、それまで写植シェア第2位に甘んじていたモリサワは一気に巻き返す事になります。そうしてリュウミンは爆発的に普及しました。Macintoshの「漢字Talk7」ではTrueType化を果たし、プロだけでなくMacユーザーなら誰でも使えるフォントになりました(最近のMac OSではインストールされませんが)。もちろん私も愛用しています。用例としては、「新世紀エヴァンゲリオン」の極太明朝(リュウミンU)や「つじあやの」のCDジャケットの題名(リュウミンBあたり)等があります。

 「L リュウミンL-KL」の欧文部分は「Times」という若干小さく太めのフォントからの流用で、和欧混植(和文と欧文を一緒に組むこと)の時はバランスが悪いような気がします。これをそのまま印刷物に使ってしまうと、いかにも初期のDTPのような、ぎこちなく素人臭い組版になってしまいあまり好きではありません。リュウミンオリジナルの欧文を搭載してもらいたかったです。

 現在は雑誌の本文に細いウェイト(太さ)が、広告やポスター等では太いウェイトが非常によく使われています。2002年には待望の「リュウミンKS」(小仮名)と「リュウミンKO」(築地活字スタイルのオールド仮名)が発売されました。使われているのを見た事がありませんが……。「ヒラギノ」(大日本スクリーン製造)「小塚」(アドビ)「マティス」(フォントワークス)と明朝書体が林立する中、生き残る事が出来るでしょうか。PostScriptフォントの最古参として、頑張ってもらいたいものです。ウェイトは細い方からL、R、M、B、H、Uがあります。

●ファミリー

リュウミンL  1982
リュウミンR  1985
リュウミンM  1985
リュウミンB  1986
リュウミンH  1986
リュウミンU  1992
(それぞれの太さにオールド仮名の「リュウミンKO」と
 小仮名の「リュウミンKS」があります。)


2003.5.31

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