亮月だより
バックナンバー 501〜525

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2009.2.16(月) 23:17  525 開放

 10日に名古屋アイクリニックにて、左眼のレーシック(近視矯正手術)を受けました。
 まだまだ回復中ですが、すっごくはっきりと見えます!! 物の肌理が判り、立体感のある世界を取り戻しました。
 0.15(近視-2.5D)だった左眼の視力が、昨日の検診で1.5(遠視+0.5D)まで回復していました。右眼は乱視を取り除けば2.0(遠視+0.5D)が見えているそうです! 知らなんだ!
 16年間「見えない」ことを自覚する度にストレスを溜め続けてきましたが、それから開放されて心の余裕ができました。
 個人的にはコンタクトレンズよりずっとお勧めです。金銭的なことや眼への影響を考えると。
 詳しく書きたいところですが、養生中ですので手短かに経過報告をさせて頂きました。

 果てしなく続く名曲発掘の旅。
ザ・コブラツイスターズ『サクラサク』(2005)
 ラジオでたまたま聞いて気に入った曲。ロックで和風でせつなくて、女の子が歌っても可愛いかもしれません。
満福旅団『はなうた』(2008)
 こちらもラジオでたまたま聞いて。名古屋のジャズ楽団のようですが、この歌は幸福感溢れる曲調と歌詞、ヴォーカルの歌声がとてもいい。私はやっぱり父の子なんだなと思いました(謎)。

 【写植部文字班】某さんのメールマガジンに載っていた、写研書体と見分けがつかないフォントシリーズについて、その発売元の会社に問い合わせてみました。(※宣伝になってしまうので固有名詞は伏せました)
1 字母はオリジナルか、他社のものを流用したか
2 写研書体と見分けがつかないが、販売・頒布にあたり権利関係はクリアしていると考えてよろしいか
3 他社製品と見分けがつかない書体を別名で制作し、不特定多数が利用できる状態にすることについて、貴社としてどうお考えか
 質問から10日経ちましたが、お返事は頂けていません。
 個性的な書体を揃えた有名なフォントシリーズに携わっている会社なのですが……。

2009.2.7(土) 23:59  524 愛された鉄道

 友人と、中津川市鉱物博物館にて開催中の北恵那鉄道廃線30周年記念展示会に行ってきました。

 1924年8月5日開通、1978年9月18日廃線。中津町(岐阜県中津川市)と下付知(旧恵那郡付知町・現中津川市)を結んだ電気鉄道でした。
 電力王・福沢桃介が建設した下流の大井ダムによって川で運べなくなった付知の材木の代替輸送手段として同氏によって建設され、中津川市苗木周辺の花崗岩運搬、夏の付知川遊び、通勤通学に活躍した鉄道でした。
 しかしながら、国道257号線(旧県道付知中津川線)の改良によって自動車輸送に座を奪われ過疎化に拍車をかけ、惜しまれながら54年の生涯を閉じました。

 私はこの鉄道の廃線後に生まれているので現役当時の様子は殆ど知りませんでしたが、多くの写真や遺された鉄道関係の備品、乗車券など発行物から往年の活躍を見ることができ、愛された鉄道だったんだなと目頭が熱くなりました。

 この鉄道の特徴として、沿線の景色の美しさが挙げられます。
 清流・付知川の際に沿って走り、田園風景に溶け込んだ鉄道で、廃線敷を散策することができる場所が多くあります。
 また橋梁が多く、中でも木曽川にかかる「木曽川橋梁」(木曽川鉄橋)は全長134メートルを誇るダブルワーレントラス橋で、北恵那鉄道の象徴たる存在です。

 帰りに、旧国道257号線から見えるこの鉄橋へ行ってみました。
 旧恵那峡口駅の横からかつて遊覧船が運行していたので、その乗船場跡から鉄橋の全景を見ることができます。


木曽川橋梁全景(画像クリックで拡大)

 廃線後30年が経過し完全に錆びてしまっていますが、今にも電車が通りそうな立派な鉄橋です。現役当時の風景をよくぞ残してくれました。奥に見える赤い「玉蔵橋」には歩道があるので、そこからの眺めも絶景です。カメラを携えた同志がいました。


木曽川橋梁・右岸から(画像クリックで拡大)

 廃線敷に上ってみました。上部には碍子が残り、紛れもない鉄道橋だということが判ります。電車が渡る時の音や、「鉄橋を越えたらもうすぐ中津の街だ」という往年の人々の期待感が伝わってきそうです。現役当時は緑白色に塗装された美しい橋梁だったようです。(※立入禁止の柵は切れていますが、絶対に渡ってはいけません)

 こうして実際に資料を見たり現地へ行ってみたりすると鉄道への思いが強くなります。鉄道は数えきれない人達や物、そしてさまざまな思いを運ぶものだからかもしれません。
 “鉄分”が少しあるとはいえ初めての“廃鉄”でした。
 ただ、打ち捨てられたものを美しいと言う人の気持ちは全く理解できません。
 一方で、この鉄橋たちのように敢えて遺され、今でも多くの人達に愛され続けるものから感じられる「記憶を永く遺したい」という前向きな思いに、そういう“愛のある”鉄道遺構を鑑賞するのはいいものだなと思った一日でした。

 今回行った展示会は今月22日までの開催。興味のある方はぜひ木曽川橋梁と共にご覧頂けたらと思います。

 北恵那鉄道廃線敷探索については下記サイトが詳しくてお薦めです。
 →「路上観察趣味『道』」内 北恵那鉄道
 →名古屋大学鉄道研究会内 北恵那鉄道の歴史

 追伸:
 今更ながら『チルノのパーフェクトさんすう教室』が頭の中でエンドレス再生しています。段々泣き顔になっていくチルノが……

2009.1.24(土) 23:37  523 やっちまったなー!

 【写植部】「書体のはなし」でモリサワの写植書体年表を公開しました。
 情報が少なく不完全ですがご了承ください。特に作者名・書体コード・1999年以降の電算写植用新書体は明らかになりませんでしたので、ご存知の方はぜひ教えてください。
 同時に、モリサワ初期の書体コード(MB101とか)の簡易解読表も掲載しましたのでご覧ください。

 組版について、科学的な面から解き明かしていきたいと思う今日この頃です。大学時代以来の感覚ですが、自分からまた勉強したいと思うなんて。

 ホロが我が家にやってきた!
 壽屋(サントリーではない)のフィギュアを買ってしまいました。
 立体物は決して買わない方針でやってきたのに、余りの可愛らしさに魔が差してしまいました。(※ねんどろいどは見逃して頂きたい)

ホロ・全景
壽屋「狼と香辛料 ホロ」全景
(Nikon D80・AiAFマイクロニッコール60mmF2.8D で撮影。以下同じ)

 うっかりにも程がある。その手の友人からは「脳のお味噌が溶けてらっしゃるv」とか「やっちまったなー!」などと御祝辞(?)を賜りました。ええやん、絵の参考になるし(そういう問題ではない)。

ホロ・しっぽまで

 原作のイラストを忠実に再現した雰囲気で、いくつかある他社の製品と比べると表情が一番いいと思います。壽屋のホロはすばらしい。

ホロ・バストアップ
画像クリックで顔部分拡大

 つり目気味の大きな目が好きらしい。流し目や(自粛)も好きらしい。

 「ほろろん病」が重くなっているような気がしますが、こういう道も本作が終着点かなーという気がしていますので(気のせいかも知れない)、生あたたかく見守ってやってください。

2009.1.19(月) 23:59  522 別世界へ

 17〜18日は職場旅行で、和歌山県は南紀白浜温泉へ行ってきました。
 高速道路で5時間のバスの旅。白浜は文字どおり別世界でした。
 メインはお寺巡りだったのですが、そういった落ち着いた旅も好きです。
 白浜に着いて一番感動したのは、「白良浜」[しららはま]という白浜の中心にある砂浜の美しさ。石英質90パーセントという真っ白な砂浜が三日月状になっていて、鮮やかなセルリアンブルーの波が打ち寄せていました。
 日没前に訪れたらそこは絵に描いたように鮮やかでロマンティックな世界。白浜はかつて新婚旅行のメッカだったといいますが、ここへ行きたいと思った人々の気持ちがよく分かりました。一緒に砂浜を歩き日没を眺めて「綺麗だね」と言ったのは、上司でした(泣)。
 あと、一眼レフを持っていったのにホテルに忘れた! しまったー!

白浜の日没
白浜の日没
※携帯電話 FOMA N600i にて撮影。画質はご容赦ください

 お宿は白良浜から歩いて10分の「梅樽温泉ホテルシーモア」。上の写真の左に見える建物です。
 広い客室から見える海の大パノラマに感動。老舗だけあってホテルの従業員さんもとても丁寧でした。肌に良さそうなぬるぬるする温泉でしたが、売りの「梅樽温泉」には入りそびれてしまいました……。
 定礎は昭和44年ということで外観や設備に古さを感じ、うわっと思うことも多少ありましたが(何故か高度経済成長時代の建物が苦手)、内装は築40年と思えないほどリフォームが念入りにされていたので気持ちよく過ごせました。
 ショウが見られる劇場や多くの飲食店もある大きく豪華な旅館方式のホテルだったので、往年の新婚旅行で訪れたカップルはこんな感じだったんだろうなあと思いを馳せながら一夜を過ごしました。

 お寺の石段を何百段も上ったりホテルの卓球で燃えたり誰かの大きな鼾でなかなか寝つけなかったり(笑)長距離バスだったりでへとへとになりましたが、ぜひもう一回白浜へ行ってみたいと思うような楽しい旅でした。

 左眼のレーシック手術が2月10日(火曜日)に決まりました。
 一生の半分以上を共にしてしまった近視と別れるとき。
 自分の両眼だけで遠くまで見えるのは忘れてしまった感覚なので、治療後の見え方がとても楽しみです。

 坂本真綾さんのアルバム『かぜよみ』を聴いています。
 作業しながらだと歌詞が頭に入ってきませんが、この声を聴くとなんだかほっとします。
 私も10曲目の詞が好き。(謎)
 曲はやっぱり菅野さんのがいいなぁ。まさか真綾嬢のアルバムで「I→IV→V→I」のループみたいなワンパターンなコード進行とか、オリジナリティがなくて先読みできる(最近のいわゆるJ-POPみたいな)平板なメロディーを聴くことになろうとは……。曲作ってる人若いのかな。

 【写植部】テレビで見かけた書体。
 「カコナール2」という風邪薬のテレビコマーシャル(→公式サイトのCM紹介)で、宮崎あおいさんが持っている携帯電話の画面に表示されている書体が写研の「石井太丸ゴシック体」でした!!

カコナールTVCM

 約物と数字があやしい別書体ですが、まさか携帯電話の画面用フォントとしてこの書体が使われるとは全く思っていなかったので一瞬目を疑いました。
 携帯電話の高解像度液晶画面にツメ組みされるアンチエイリアスのかかった石井太丸ゴシック体……。携帯電話の文字は5×7ドットの片仮名ビットマップフォントで始まって、漢字フォント化、アウトラインフォント化、フォントメーカー製書体の搭載ときて、いつかこのコマーシャルのようないい時代が来るのでしょうか。


 12日に始まった地上波アナログ放送の番組の右側に出続ける「アナログ」表示に納得がいかない管理人です。映像にノイズを付加し、デジタル放送対応のテレビを早よ買えという強制の意思が見える……。最後まで綺麗なアナログ放送を見させてください。
 デジタルハイビジョン化によって画質が上がったとしても番組の内容(質)は変わらないし、デコードの処理の遅さの関係で時刻表示が不正確なので、高い受像機を買ってまでデジタル放送を見るつもりはありません。視聴者がデジタル化を望んだ訳ではないし、アナログの何が悪いというのだろう。残念だなぁ。
(BGM:坂本真綾『かぜよみ』/2009.1.14)

2009.1.6(火) 22:28  521 謹賀新年

 明けましておめでとうございます。
 2009年がよき年となりますように。

 予想をはるかに超える量の年賀状が届きましてとても嬉しかったです。ありがとうございました! 一方、年賀メールがきわめて少なかったのはアナログ人間の私らしかったです(笑)。
 こちらの年賀状は予想通りのものが届きつつあるかと思います。ご笑納くださいませ。じつは亮月製作所創立以来初めての“非写植年賀”でした。(しばらく経ったら「イラスト制作部」に載せます。)

 VOCALOID2「キャラクター・ヴォーカル・シリーズ」のCV03は「巡音ルカ」だそうで、今日その公式イラストが公開されました!
 ピンク色の長い髪をしたハスキーヴォイスのおねいさん。CVシリーズ初の日本語/英語両対応で、キャラクターヴォイスは声優の浅川悠さんだそうです。長い間待ってました! 待ちくたびれました!
 1月30日発売ということで、多分買っちゃうと思います。
 亮月製作所のヴォーカル作品は1曲目『青空の向こうへ』初音ミク、2曲目『写植のうた』鏡音リン・レン。そして現在3曲目をミクのために制作中なので、4曲目はルカたん(←アホや)に歌ってもらおうかと思います。

 【写植部文字班】写植ファンサイトなのに上のような話題で一年を始めてしまうのが亮月らしいといいましょうか。活動進行中の文字関係の話題を少し。

・「DTPWORLD」2008年12月号P.50からの『文字組み基本の「き」』という記事が変!?
・写研の笑顔マーク「記号BA-90」にそっくりな記号が搭載されるPC用フォントのアンチック体2書体
・写植関係の訪問取材/メール取材 各1件まとめ中

 形になるのはまだちょっと先のことになると思いますが、目をいたわりつつゆっくり進めています。

 あと、「ゆず屋」さん発行の『書体の研究2』は今回も非常によかったです!
 廉価版フォントパッケージの比較や、本の表紙で見る書体とその再現など、実用的且つとても楽しめる内容で、濃い文字好きから濃いアニメ/漫画/ライトノベルファンまで広くお薦めできる同人誌です。山王丸榊さん、遠くからですが応援してまーす!

 あともうひとつ、今までは書体を探究するばかりでしたが、今後は組版も充分に研究していきたいです。
 適切な書体があっても組版がなっていなかったら版面は美しくないし、設計がよろしくない書体を使ったら適切な組版だけでは版面の乱れをカヴァーしきれない。
 つまり適切な書体と適切な組版がうまく噛み合って初めて、その両方が100パーセント機能し、すぐれた版面を作るものだと思います。写研が組版(写植機など組版システム)と書体を切り離さない方針を採っているのは、そういう理由なのではないでしょうか。

2008.12.30(火) 16:55  520 はじまりと終わり

 【企画部+写植部】27日、名古屋圏の文字好きが集まって「文字の忘年会」を開きました。
 集まったのは名古屋圏にゆかりのある文字好きのサイト・ブログ運営者やその関係者で、全員が20〜30代という顔ぶれに心強く思いました。
 本当に飲み会のつもりだったのですが、それぞれが持ち寄った資料を見てそれを肴に話すという、ほんの少し勉強会のような感じになっていました(笑)。
 私も、その日完成したばかりの『写植のうた』のCD-Rを持参し、発表いたしました。

写植のうたジャケット
『写植のうた』CD-Rジャケット用画像(左が表4、右が表1)

 イラストにある文字盤の向きや表裏を間違えて印字を頼んでしまったとか、私がする写植の指定の甘さを痛感したとか色々ありましたが、形となったものを年内に発表することができてほっとしています。
 5時間という長さを忘れるほど楽しい集まりとなりました。
 忘年会にご参加の皆さん、ありがとうございました!

 【写植部文字班】生まれる書体があれば消えゆく書体もあります。
 ゼアリスから発売および無償配布されている「大正明朝体」。

大正明朝体見本

 2000年11月に発売・配布されたこの書体は、クラシカルでありつつも独自のデザインを持ち、払いなどに丸みを持たせ、当時の一般的なDTP用の明朝体が持ち得なかったやわらかさややさしさを実現した画期的な存在でした。
 また、Mac用のATMフォントが無料配布され、個人使用に重宝されましたが、商業印刷で見かけるようになったのは2000年代中盤あたりからでした。
 しかしながら、このフォントは漢字Talk7.5.3〜MacOS9.2.2までにしか対応していません。つまり現行のMacでは使えないということなのです。
 Classic環境が動作するMacはまだまだ現役とはいえ、それらが寿命を迎える時期はやがてやって来ます。だからといって新品を揃えてDTPを始めても使えない書体なのです。
 コンピュータのハードウェアとソフトウェアは頻繁に更新をしていますが、それについていくことができず、取り残されてしまうものは意外と多くあるように思います。本体はたった数年で使い物にならなくなり、ユーザーは繰り返しの習熟に疲れ、企業は経済的な重荷と感じているかもしれません。
 頻繁な更新による利点は勿論あるでしょうが、その一方で書体という狭い視点で見ても、生まれてまだ時間の経っていない若い書体が使えなくなるという現象が起こっていることを見過ごしてはならないと思います。
 新しいものを追い続けることは楽ですが、現実問題としては非常に難しいことなのです。

 亮月製作所の2008年。
 写植関連2件の取材(いずれも未発表)。
 『文字に生きる』『組みNOW』『書体の研究』など資料の充実。
 「亮月研」発足、活動開始。
 『写植のうた』復刻。
 カラーイラスト6枚。初のヴォーカル曲

 零細サイトには程よい活動量でした。それでいてとても充実していました。

 書体の世界に目を向けてみると、DTP用のフォントでも写植時代と性質の似たものがほぼ出揃ったように思います。
 これから新しく出る書体については、「写研を真似る」時代から「写研を超える」時代へと変わると思います。(独創的な書体を作られる書体デザイナーさんは既にたくさんいらっしゃいますが、有名なメーカーさんは写研の真似をしたがる?)
 写研も活版書体の真似から入り、やがて独自の書体を作るようになりました。模倣から脱出したとき、ようやく書体デザインのスタートラインに立ったと言えるのではないでしょうか。
 大いに期待しています。

 最後に、毎年発表している「亮月大賞」です。
 今年を代表すると思う書体に賞を贈ります(賞品なし)。

(♪ドラムロール)

 2008年亮月大賞は、「カクミン」(モリサワ)です!

 カクミンは2005年3月31日に発売されたDTP用のデジタルフォント。モダンスタイルの骨格を持つゴシック体に明朝体のウロコがついたような形をしています。同じ“明朝ゴシック”系統の「ナウM」ファミリーよりもゴシック体寄りで、整然とした字面が心地よく感じられる書体だと思います。
 MORISAWA PASSPORT の普及が進んでいるのか、ここのところ急速にこの書体を見るようになりました。TBSのテロップにも頻繁に登場しています。
 「これだ!」というほど印象が強かった訳ではありませんが、2008年をイメージする書体はカクミンです。でも私は持っていません。

 ちなみに歴代受賞書体はこんな感じでした。
2007年 A1明朝
2006年 解ゴシック
2005年 DFP優雅宋・丸明オールド
2004年 ZENオールド明朝体R
2003年 ことり文字ふぉんと・DFP金文体

 こうして見ると全体にやさしくて可愛らしい字面の書体を選ぶ傾向があるようです。私の好みもありますが、時代が求める文字もやはりそういう性質のものだろうと様々な印刷物から感じています。

 2009年、文字の世界が更に広がることを楽しみにして、今年の活動を終えることにします。
 よい新年をお迎えください。

2008.12.25(木) 23:59  519 できたー!

 【写植部+イラスト制作部+音楽制作部】

『写植のうた』CDジャケット色校
『写植のうた』CDジャケットと写植の印画紙

 東京の「プロスタディオ」さんから写植の印画紙が届き、『写植のうた』CD版のブックレットが完成しました。オペレータの駒井さん、ありがとうございました!
 イラストはひと月ほど前に描いた案を基に先週の1週間弱で完成。今週はジャケットのデザインと写植の発注で過ぎていきました。
 写植を題材にした歌なので写植で組版しない訳にはいかないのですが、ジャケットは見た目以上に複雑な指定で、歌詞カード等は文字数がかなり多く、発注するのを躊躇いました。
 でも自前のDTPソフトとフォントで仮作したものと写植を使って作ったものとを見比べるとやはり印刷物としての完成度が全然違う。印画紙から「こういう時はこう組むと綺麗で読みやすいんだよ」と駒井さんの声が聞こえてきそうです。
 自作イラストを使ったジャケットは思いがけず今風のデザイン処理に導かれたのですが、写研書体でも違和感なく版面に溶け込んでいました。写研書体は依然使いにくい状況にありますが、その実力は全く色褪せていないと言えるでしょう。
 このCDはJASRAC管理楽曲が収録されているのでバンバン配る訳にはいかないのですが、年明けに許諾を取り次第頒布を始めたいと思います。
 とりあえず27日の「文字の忘年会」ではお披露目できそうです。

 明日からは年賀状を描こうと思います。(※宛名とメッセージではない)
 毎年、自分にとってこの1年を代表するものを題材にしているのですが、今回も難儀しています。とても好きなのに描いたことがなく、しかもバランスが難しくて描けない。
 作画のせいではありませんが、たぶん99%元旦には間に合いません。2年連続でごめんなさい。
 とはいえ、リハビリによって絵を描く調子を取り戻しつつあるので、この勢いで来年は“三角構図”と動きのある絵が描けるように精進したいです。

文字の忘年会のおしらせ

 名古屋圏の文字好きである「文字の旅人」(NORIさん)・「FeZn.com」他(FeZnさん)・「亮月製作所」(桂光亮月)の合同企画(?)として、“文字の忘年会”をします。

●と き 2008年12月27日(土曜日)18時頃 開始
●ところ 名古屋市東区東桜〜東新町周辺
     (予約が取れないため近辺の飲み屋さんへフリーで入ります)
●集 合 名古屋市東区東桜2-11-16  
     西川コミュニケーションズ(西川ビル)正面 はじまり童子前
     ※地下鉄桜通線高岳駅4番出口 空港線を南へ約250メートル
      都市高速沿いに歩き、ローソンと斜めに入る道路がある周辺です
●会 費 割り勘です

 亮月研などの催しではなく、一緒に飲みたいねというものですので、文字好きの方もそうでない方もご参加頂けたら嬉しいです。
 参加ご希望の方は上記3者のいずれかまでメールにてご連絡ください。

2008.12.16(火) 22:16  518 気になるなる

 【写植部文字班】「20代デザイナーの文字組」さんでモリサワの「A1明朝」についての記事が掲載され、こちらにリンクして頂いています。(ありがとうございます!)
 「書体のはなし」の太明朝体A1の項目に写植とOpenTypeとの比較検証を追記しました。よろしければご覧くださいませ。

 【企画部+写植部文字班】12月27日(土曜日)、名古屋周辺の文字好きが合同でささやかな忘年会をやろうという話が持ち上がっています。
 詳しくはまだ決まっていませんので追って書こうと思います。

 最近気になる音楽……
千葉はな『昨日のつづき』。
 オルビスという化粧品会社のCMソングですが、懐かしい感じのメロディーとコード進行がこの上なく好みです。現代にこういう曲を書ける人がいたなんて。つじあやのさんにちょっと似たほんわかした歌声も魅力的です。

・ジョヴァン・カー(?)『All Colorful』。
 こちらはコーセー化粧品のCMに使われています。ラジオで流れている時に歌手と題名を書き留めたのですが、洋楽なので歌手名がよく分かりません。でもフレンチポップのような上昇感のあるお洒落な感じ(抽象的だ)がとても好きです。ふた足早く春を感じる一曲。
 →ジョヴァンカ『ALL COLOURFUL』と判明。(2009.2.22)

2008.12.14(日) 23:59  517 あと365日

 昨日13日を以って、カウントダウンが始まってしまった管理人です。
 最後の1年なので悔いのないように日々大切に味わいながら、楽しく生きたいと思います。

 その第1弾として(?)、右目の負担の大きな原因になっていた、左目の近視を根本的に治療することにしました。
 小4以来ずっと裸眼で過ごしてきましたが、中学に入ると左眼だけ近視になり、右眼が遠視で視力1.5で合焦範囲は3〜∞メートル(無理すれば0.5メートル〜)、左眼が近視で視力0.1で0.3メートル以下しかピントが合わないので、パソコンの画面を見るのがとても辛い状態にあるのです。車の運転も危険。
 それで、コンタクトレンズや眼鏡だとメンテナンスが大変で一生費用がかかり続けるということで、来年1月にレーシック手術を受けることにしました。この方が長い目で見れば安いと判断したのです。(あと性格上、対症療法ではなく根本的に解決しないと気が済まないので。)
 自分の両眼ではっきり見える世界ってどんなのでしょう。とても楽しみです。

 13〜14日と、職場の旅行で福岡まで行ってきました。
 それはもう、楽しかったの一言に尽きるのですが、13日に吉野ヶ里遺跡へ行こうとしたら太宰府で「日中韓首脳会議」の交通規制で1時間足止めされたり、帰りは博多駅が新幹線0系のさよなら運転の出迎えで混雑するなど、歴史の1ページに触れた思い出に残る旅行になりました。

 収穫だったのは福岡市交通局の地下鉄のサインシステムが格好よかったこと。

天神駅名表示板の再現
駅名表示板(見出ゴシック体MB31平体1番+Helbetica・管理人による再現)

 私の住む東海地方にも名古屋市交通局の地下鉄があり、かつて「ゴナB」とヘルベチカによる日本一といってよい(私の主観)美しいサインシステムがありましたが、近年ルールが崩れて節操がなくなってしまったので、福岡の統一感あるデザインにとても感動しました。福岡には初めて降り立ちましたが、全く滞りなく私を導いてくれました。
 写真はフィルムで撮影したので後日紹介したいと思います。

 12日、いくつかフォントを購入しました。
 まずは清和堂フォントデザイン室の「清和堂明朝体L」「同-KS」。
 以前紹介した書体ですが、年内の2書体半額キャンペーン中にと思ってようやく買いました。やさしい字面が好き。
 続いて欣喜堂の仮名書体「たおやめ」「うぐいす」「しおり」「ますらお」「くろふね」「くれたけ」。
 郵便局株式会社の『モヨリノ』という季刊誌で見た「中ゴシックBBB」と混植された仮名が好みな感じだったので、記憶を辿って欣喜堂の仮名書体を買い求めました。
 欣喜堂はかつて写研の「ボカッシイG」「いまりゅうD」などの原字デザインをした今田欣一さんが主宰。現在も印刷史に関する著述や活版由来の書体の制作を続けられています。

 一番気に入ったのはゴシック体「くろふね」。
 1951年に制作されたという書体が基になっているようですが、古風というよりは可愛らしい字面で現代にも合うような気がします。写植のやさしい字面ともまた違う味わい深い魅力を持っています。輪郭は曲線のみで構成されてやわらかく、特に片仮名が可愛い。

KRくろふね混植見本

 中ゴシックBBBをはじめ、DTP用ゴシック体の仮名は角の立った硬質なものが多いので(批判ではなくてデザインの特徴として)、こういう書体の存在は有難いです。
 朗文堂のパッケージ販売は数書体のセット売りですが、ダウンロード販売は1書体からだったので非常に助かりました。
 このシリーズは1書体1500円と手に入れやすく、紙面のイメージががらっと代わるので、同人誌など個人で本づくりをされる方にもお勧めです。
 こういった単品売りの仮名書体がもっと増えてくれると更に嬉しいです。

2008.12.1(月) 0:00  516 写植のうた、公開しました

 お久し振りです。
 1ヶ月ほど目の養生のため更新を休んでおりました。右目の激しい乱視は大体収まり、ここへ戻ってまいりました。
 この1ヶ月は目の負担にならないよう、極力パソコンを使わない生活をしていましたが、やはりアナログの手作業が性に合っているようで作業がとても捗りました。イラストやら音楽制作やらテープ起こしやら……。
 今後も目の健康と作業効率を考えて「アナログ制作・デジタル発表」でいきたいと思います。
 メールや掲示板などのお返事は、ゆっくりではありますがこれから少しずつさせて頂きたいと思います。

 【イラスト制作部】トップページのイラストは、1963年10月に発表された卓上型手動写植機「スピカ」シリーズの満45周年を記念して描いたものです。
 絵のモデルは1969年発表の「スピカQD」。オペレータの女の子には頭から黒・白・黒・白……と纏ってもらい、光と影でできた写植を表現しました(作者の好みもちょっと入っているかも・笑)。
 4年前にもやはりトップ画像として写植機を半分想像で描きましたが、今回は取材写真やスピカの取扱説明書からなるべく忠実に作画することができました。この4年で多くの資料が揃ったので活動してきた甲斐がありました。
 制作はとても楽しかったし自分のイラストとしてこれ以上のものは描けない所まで追求できたので、『写植がある』シリーズとして“写植とイラストの融合”を進めていくことにしました。やって喜ぶ人が自分の他におるか分からんけど。

 【企画部】元写植屋さんに取材に行った時の録音の文字起こしが進行中です。
 3時間半にわたるロングインタヴューでした。現在1時間半まで進み、B5ルーズリーフにびっしり書いて14ページ分になっています。左手にプレイヤーのリモコン、右手にシャープペンシルを持って作業するとパソコン打ちの2〜3倍ぐらいの速さで文字に起こせます(私の場合)。
 「写植レポート」で公開する時期は未定ですが、今までの取材にはないタイプの貴重なお話を頂けたのでぜひ掲載したいと思います。

 【音楽制作部+写植部+イラスト制作部合同】
 そして今日から公開の『写植のうた』
 11月半ば、友人づてに元写研社員の方から楽譜の複写を送って頂いたのです。「楽譜が見付かった」というお話を聞いた時、それはもう飛び上がるほど嬉しくて、半年ぶんは感激しました。
 どんな歌なのか楽譜からは想像しにくかったので、その日のうちにコード進行に従い1番まで編曲してみて、VOCALOIDに歌わせてみました。
 1970年代の香り漂うメロディーに乗せて写植への思いが歌い上げられる。33年経って甦った歌に「写植こそ我が青春」と目頭が熱くなりました(※私は1979年生まれです)。自分で編曲しておいて何ですが、感動してしまったんです。
 1週間ほどでフルコーラスを完成させました。この歌を広く聴いてもらい永く残していきたいと思い、JASRAC(社団法人日本音楽著作権協会)に利用許諾の申請をしました。市販されなかった企業の歌ということで却下かと思いましたが、ものの1週間弱で許諾がおりました。胸を張ってこの歌を公開できるようになったのです。
 曲調は原曲とは違うようですが、私なりのかつての写植像を表現したつもりです。若かリし頃に写植に携わった方、写植が好きな方、写植に触れたことのない方もよろしければ聴いてみてください。
 CD-R版の企画もしていて、ジャケットイラストを制作中です。

 ひとこと
 初雪が降ったとき、最初に知らせたい人があなたの好きな人です。ラジオでそう言っていました。

2008.11.2(日) 515 亮月製作所サイト更新休止のお知らせ

 ※2008.12.1 サイト更新を再開しました

 管理人の視力が日々の暮らしに支障をきたすほど低下しているため、亮月製作所のサイトの更新を一時休止します。

 原因は姿勢が悪い状態での長時間のパソコン使用と思われます。

 左目は元々近視で30センチほどまでしか見えませんでした。右目は昨日まで50メートル先の人の顔の表情が判るほど見えていましたが、今朝起きてみたら見えているものの全てがぼやけていました。縦方向に二重に見えるので、突然乱視が発症した(?)ようです。

 見るものが遠ければ遠いほど二重に見える度合いが大きいので、自動車の運転は難しいと思います。私の住む地域は公共交通機関が殆ど麻痺しているので、自動車が運転できないことが何を意味するかはお分かりいただけるかと思います。ただし、歩いての行動や読書、書く(描く)ことには支障ありません。

 休止の期間は具体的には判りませんが、右目の視力が昨日と同じ水準に戻ったときまでとします。それまでは治療と養生のためにパソコンの使用は必要最小限にします。メールの確認と掲示板が荒れない程度の管理はします。(※亮月製作所自体の活動を休止する訳ではありません。例えば取材や催しへの参加など)

 そのため、このサイトの掲示板と携帯電話ではないメールを見たりお返事差し上げたりすることが大幅に遅れたり出来なかったりするかもしれません。私の身元が分かっている方はなるべく携帯電話かFAX、もしくは郵便などでご連絡ください。(※郵便などの場合「亮月製作所」宛では届きませんので、宛先には私の本名をお書きください)

 何かとご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

2008年11月2日 写植ファンサイト「亮月製作所」管理人・桂光亮月

2008.10.26(日) 22:51  514 写植のうたを囲む会

 絵の制作に1週間かかりっきりだったので留守にしていました。
 今日完成し、自分としてはここ数年で一番納得できる仕上がりになりました。
 いずれ公開したいと思います。

 【企画部+写植部】18日(先週の土曜日)、「『写植のうた』を囲む会」として、「文字の旅人」のNORIさんとその同僚関係のKさん、Fさん、「FeZn.com」のFeZnさんで、元写研社員のSさんに『写植のうた』を歌ってもらおう、という飲み会に参加してきました。

 Sさんからは写研のことから最近のフォント事情まで幅広い話題をお聞きすることができました。
 写研の現状、写植機を中国や韓国に輸出するときの話や「E欧文」と「R欧文」の違い、写植機の特定の機種が生産終了になったときに部品取りとしてもう1台買う人が結構いたとか、文字盤の価格とか。なかなか聞く機会がない興味深いお話でした。
 写研が創業○周年(失念)記念パーティーを開いた時、柏原芳恵さんのリサイタルがあって『ハロー・グッバイ』や『春なのに』を歌ったんだとか。「柏原芳恵いいですよねー! 羨ましいです。」と過剰反応の私を見て呆れるみんなに対し、「♪紅茶のおいしい喫茶店〜」と歌うSさん。以降、『写植のうた』が『ハロー・グッバイ』になりかけました(笑)。

 『写植のうた』が載っていると言われている(未確認情報)「写植手帖」は、写研がお客さんに対して毎年配っていたものだったようです。

 Sさんはこの歌について大まかな内容を教えてくださいました。
 作詞は杉紀彦さん。作詞家やラジオパーソナリティーとして現在もご活躍中です。
 歌の内容ははっきりとは分かりませんでしたが、やはり文字が絡んだ歌詞だったそうです。曲調は昭和50年という時代柄予想通りフォーク調で、みんなで歌える合唱風のものだったとか。
 今回はこれ以上明らかになりませんでしたが、お知り合いの方にも問い合わせて頂けることになりました。(ありがとうございます!)

 そういう会だったのに、何故かFさんと声優の大谷育江さん(ピカチュウの声の人です)について盛り上がり、そのうち「2次元と3次元はうんたらかんたら!」という話(謎)で意気投合してしまいました。

 そういうわけでとても楽しい会になり、歌についても持ち越しとなったので、また囲む会を開けたらと思います。

 【写植部文字班】25日、組版関連の書籍を入手しました。

・株式会社写研『組みNOW』(1976年版)
・府川充男『組版原論』(1996年)

 いずれも発行から時間が経っていますが、現在でも組版の規範として充分すぎるほど通用するルールブック(+資料)となっています。これらを超える組版の指南書はあるのでしょうか。

 『組みNOW』は手動写植用に書かれ「写植ルール」に則ったものではありますが、DTPが主流となった現在でもほぼそのまま適用することができます。基本ルールが明確で、図版も多く、一読すれば誰もが美しい組版を実現できるよう配慮がなされています。

 『組版原論』は前半を文字(書体)の歴史についての記述、後半を組版の実現方法の実践的な解説、としています。
 本書は当時主流だった「QuarkXPress 3.3J」で組まれていますが、それとは思えぬ美しく厳格な体裁で、書体も現在と比較しても何ら見劣りしないものが使用されています。活版から培われ磨かれてきた組版を基にしてルール設定を明確にし、ハードウェアとソフトウェアを正しく使えば全く問題ないと言えるでしょう。
 また、府川氏の的を射た論がとても痛快で、たとえば組見本にしばしば登場する

  莫迦な編輯者や無智なデザイナーと仕事をするくらいなら
  昼寝をしていた方がよい

 という言葉など、言いにくいことをズバリ述べていて力を貰いました。と同時に、自分も文字に関係するものの端くれとして莫迦にされる立場にならないようにならなければと背筋の伸びる思いでした。
 発売当時から賛否両論だったようで、人によっては不快に思い封印したり焚書したりした(→MacUser日本版 1996年10月号「Macintoshとデザインの周辺」)といいます。でもそれは府川氏の鋭い指摘に心当たりがあり、自らつくる組版のいい加減さに気付いた(癪に障った)からこその行動だったのではないでしょうか。
 また、『一律一歯詰め組版を排す』として、いまだ行われている“本文の一律一歯詰め”が不適切な組版であることを、漢字・仮名・ルビや記号の役割、可読性など多くの根拠を持って証明しています。
 本書にある組版ルールは府川氏の長年の経験と活版以来の膨大な資料に基づくものであり、絶対である訳ではありませんが、私としては反論の余地はありません。

 『組みNOW』『組版原論』はどちらも絶版ですが、プロアマ問わず必携の書だと思います。同等の書籍が再び発行されることを心から願います。
 中古では定価以上の値段がついていますがその価値はあります。私も結構な値段で買いました。どうしても手に入れられなければ図書館で借りてでも熟読することをお勧めします。

2008.10.14(月) 21:37  513 見過ごせない

 絵や曲を制作したり、『狼と香辛料』の世界に没入したりしてしばらく帰ってこないつもりでしたが、そうやっていると必ず見過ごせない文字の話題が入ってくるから不思議です。

 【写植部文字班】上段の「さがしています」で募集していた不明な欧文書体について情報が寄せられました。Aさんありがとうございました!
 “外国人が日本をイメージする書体”として広く使われているようで、刀のようなエレメントが集まって文字を構成しているこの書体、欧文書体にはあまり明るくない(日本人ならやっぱり和文書体でしょ!)私にとっては難問でした。

「Bonzai」という書体がかなり近いようです。

Bonzai見本
上:「さがしています」掲載時の見本
下:Bonzai で再現(要カーニング)

 見本は角を丸くする処理がされているように見えるので完全には比べられないですし、よく見ると文字幅や位置、エレメントの重なり方が違うので、Bonzaiであると言い切れないのですが、非常に酷似しています。
 私は依頼主の方(書体好きではない一般の人)に「Bonzaiという欧文書体が限りなく近いです」と答えるつもりですが、欧文書体に詳しい方から見ると「ゴナ新ゴぐらい違うよ!」と言われてしまうんでしょうか。
 「さがしています」からは外しましたが、「まさにこれです」という書体がもしありましたらご教示頂けますと助かります。

 全然関係ありませんが、『官報』(国立印刷局)の本文書体が「平成明朝体」/「同角ゴシック体」から「小塚明朝」/「同ゴシック」に知らない間に変わっていたようで(※)、幾分ましになったような気がします。(※仕事相手からのFAXのため確証なし。PDF版に小塚書体の埋め込みはありません)
 平成明朝体は字面の大きさが漢字と仮名とで違いが少なく、仮名が枠いっぱいにデザインされている(仮名が大きく丸っこい)ため縦組みが非常に読みにくく、こと長文には全く向かないのです。少なくともそれだけは変わらない事実です。

 あと近々、『写植のうた』について知っているという方にお会いできるかもしれません。

 11日、友人が出演する舞台『尾張だゃあつうグラフィティ』を観に行ってきました。
 尾張藩主・徳川宗春の時代に生きた“だゃあつう”(漢字では「大通」。粋という意味)な人々が展開する全編名古屋弁の演劇。名古屋圏に生まれてよかったと思える、元気が出る作品でした。
 友人は脇役なれども舞台で目立つ役どころで、いきいきと演じていて(いい役を貰ったな〜)と感動。身近にいい役者がいて私は鼻が高いよ。
 あんな風に多くの人を楽しませたり感動させたりできるようになりたいと大いに発奮しました。

 それからは友人宅で2泊3日。「『狼と香辛料』にはまった」と言ったら、「やっぱりね。好きそうだと思ってたから」と。好みは周りからの方がよく見える? あと、ごく久し振りに見た私の尋常でないはまりっぷりが面白いらしい。
 そして住所の近隣4市には売っていなかったアニメ版のDVDをようやく購入。初回版をまとめて買ってしまいました。同じくサウンドトラックも。ジャケットの絵が好きすぎて困りんす。

『狼と香辛料』サントラジャケット写真
『狼と香辛料』オリジナルサウンドトラック 狼と旅の音楽
2008.3.13/JVC/VTCL-60021/3,045円

 ……気を取り直して、書体の話題を絡めてみると、ブックレットはほぼフォントワークスの「筑紫明朝」のみで組まれていて、アニメ版『狼〜』らしさを演出しています。いや〜、筑紫明朝ってホンットにいい書体ですねぇ〜。(←明らかに“ほろろん病”にかかっているが故の中身がない発言)(すみません)

 それで、私がDVDを買い込んだのをいいことに、近々上映会を開くことになってしまいました。周りにも『狼〜』好きは結構いたようです。

 【写植部文字班】筑紫明朝の話になったので、フォントワークスが12月提供開始の新書体「筑紫A丸ゴシック-B」について。(書体見本のPDF
 ようやく写研の「石井丸ゴシック体」ファミリーの雰囲気を継ぐDTP用デジタルフォントが発売されるということで、なんとも感慨深いです。記憶のある限り12年は待っていました! 待ちくたびれました。
 それで見本を見てみましたが、漢字がすばらしい。そうそうこういう丸さなんだよねという人間的な曲線。モリサワでも出来なかったことをやってくれた感があります。
 とはいっても両仮名に相変わらず妙な癖があるし、英数字が若すぎる気がします。開発コンセプトにあるように、「懐を絞ったデザインの丸ゴシック体」なら、英数字も引き締まった字面にしないと合わないのでは……。漢字がすごくいいだけに残念さ倍増。
 ただ、仮名の妙さ加減は「気になるなー」という程度なので、「石井丸ゴシック体」の代わりにはならないとしても、フォントワークスなりの解釈で設計された貴重なオールドスタイルの丸ゴシック体として使ってもいいかな、という感じです。LETS専用にせんでください(笑)。(好みでない書体込みで年間何万〜十何万円と費やすのは辛い。1万円/5書体/年のセレクトパックとかやってくれんかなー)
 同時提供開始の「筑紫オールド明朝-R」は、築地……というよりは「石井中明朝体OKL」をかなり意識したと思われるデザイン。独創性は皆無ですが、線の流れは独創性あるデザインの筑紫明朝よりは好きです。でもそっくりなデザインの書体ばっか増えてもねぇ……。

2008.10.10(金) 23:01  512 旅の途中

 金木犀の香りが街を包むと、何だか懐かしい気持ちになります。
 人恋しい季節の始まりです。

 ご無沙汰しております。
 “旅先”(『狼と香辛料』の世界)からの投函です。(という設定)
 文字絡みの話題も後ろの方にありますので、しばしお付き合いください。

 『狼と香辛料』にはまってしまいました。

《いきさつ》
 目で見てすぐ話の内容が判るコミックス1巻から読んでみた。
 中世を舞台に、行商の“ロレンス”と豊穣の神の化身の狼娘“ホロ”が旅する話? すんなり世界観に入っていけた。いいかも。
 原作の挿絵の絵柄に比べ漫画の絵柄は“萌え”っぽく、狙いすましたかのように随所でホロがそういう仕草をしているし、おまけにけしからん場面がやたらと多い(笑)。小説版の絵柄の落ち着いた雰囲気しか知らなかったので、予想を覆された気がして「『狼〜』ってこんな作品なのー!?」と抵抗があった。
 翌朝、妹に「『狼と香辛料』は“上品なあかほりさとる”か“ひとり天地無用!”やないの? けしからん!」(例えが古い)と言ったら、「あかほり先生から下品を取ったら何が残る?(※反語:何も残らない)」と反論。たしかに……。そして更に、「『けしからん! もっとやれ!』でしょ?」と見抜かれていた。

 そしてコミックス版を読破したので、「小説版はきっと真面目だろう」と思って読み始める。いたって普通の文章だった。よかった。と思ったが、ホロが如何に美しくて可愛らしく子供っぽいかが冷静でない文体で述べられていて「好きなんデショ?」と言わんばかりだ。作者の趣味が伺い知れるが読者も同罪か(?)。これだけ畳みかけるように書かれると「けしからん!」が「ホロ可愛い……」になってしまうではないか。それが狙いか。
 それはそうとして、漫画ではよく判らなかったキャラの心境や背景にあるものが細かく丁寧に書かれていてもう一度しっかりと楽しめる。原作と漫画が互いに補い合っているような感じ。読み進めていくと、賢い二人のやり取りがとても面白く、いつの間にか一緒に旅をしている気分になっていたし、中世の世界観や経済の仕組みを吸収できたりして、ただの薄っぺらい萌え話ではないなと直感した。けしからんという気持ちが完全に拭われてしまうほど。それに第一、全巻読んでみないと名作かそうでないかは判らないじゃないか。
 というわけで、長い“旅”は始まったのであった。

《本作のここが好き・順不同》
文倉十氏の落ち着いた絵柄
・中世ヨーロッパ風(ドイツ語圏?)の世界観
・二人のやり取りの機微とそのくすぐり感
・経済の仕組みにも触れていて興味深い
・剣や魔法が登場しない(戦いものは昔から馴染めなかった)
・旅の日常を描いている(一緒に旅をしている気分になる)
・ホロが可愛すぎる!(言葉遣いなどなど)

 しかしこう書くと、最後の項目をごまかす為に一生懸命言い訳をしているようだが、断じてそうではない。そういうわけでコミックス版を何十回と読み返してしまったのであった。(こっちの絵柄もかなり好きになってしまったらしい)(※ただしコミックス版は(わけあって)万人にはお薦めできない)

 あまり作品を絶賛することはありませんが、『狼と香辛料』はすばらしいです。
 小説の絵柄が好みだったら買っていいと思います!

 そのコミックス版の文字遣いについてです。
 フキダシに使われるゴシック体+アンチック体の組み合わせが、通常のモノクロページとカラーページで違っていました。


左:P.36 コミックフォント Comic-GA(エヌフォーメディア研究所)
中:同フォントを使って再現
右:P.39 石井太ゴシック体+中見出しアンチックKF-A(写研)

 カラーページを挟む都合上DTPにせざるを得なかったのでしょうけど、カラーになったのに書体だけ安っぽく見えたので取り上げました。しかもモリサワのアンチックではなく「コミックフォント」とは……。
 ちなみにこのコミックフォント、「タイプバンクゴシックDB」と「タイプバンク築地明朝DE」の組み合わせになっており、商用利用は別途契約が必要、同人誌であってもアウトライン化しての入稿が必要(二次利用防止のため)とのことです。

 次は割とマイナーな書体を。


左:P.167 右:P.51 いずれもホロの台詞

 書体は写研の「茅楷書」大かな(MKNL-KL)です。久々に見た気がする。小かな(MKNL-KS)とは仮名のデザインが違います。
 ホロが弱気というか、なよっとした感じのときの台詞です。「石井楷書体」や「紅蘭楷書」だとかっちりしていて台詞を表現しきれないと思いますが、「茅楷書」は強弱があってくねくねした字形なので絶妙な書体選びだと思います。

 最後は初めて使用例を見た書体です。
 中村征宏さん作の写研「ナカミンダU-S」。手動写植機では使えないので、本作は写研の漫画制作システム「ハヤテ」を使っているか、電算写植を使って印画紙出力したものを貼り込んでいるかだと思います。


P.176

 漫画版のタイトルロゴはリョービの「ナウMB」なので、それに近い印象の書体を選んだのでしょうか。思いがけず貴重な(?)遭遇でした。

2008.10.1(水) 19:45  511 ほろろん祭り

 『狼と香辛料』にはまってしまいそうです。(今更ですが)
 『ハチクロ』が終わって以来、アニメとかそういうのはもういいかな、と思っていたので、自分が一番驚きました。
 いつも気分がふわふわしていて、よく分からない多幸感が溢れ出しているような感じです。これは○○○病(医学的な病名ではない)と同じ症状だ……。久々に大波が来てしまったような気がしています。危険です。逃げてください!(?)

 もうDVDを買いに行かずにいられない衝動を抑えられなくなっています。住んでる近くの店鋪にはなかったので、代わりにコミックスと原作のライトノベルを買ってしまいました。ライトノベルを買うのって『スレイヤーズ』(1995年頃)以来……いや『キノの旅』があった。
 前々から妹が朝食時に「わっちは賢狼ホロじゃ」とか「〜してくりゃれ」と言っていたり、書体関連の書籍で本作が紹介されていたりしたので、はまる土壌は充分にあった訳ですが……。

 物語の内容は全く大まかにしか知りませんが、もし気に入った暁には遠慮せずどっぷり浸かってみたいと思いますのでよろしくお願いします。(拒否)
 亮月製作所が更新しなくなったり倒れたりする事はない……はずです。たぶん。

2008.9.28(日) 22:30  510 リンゴ日和

 昨日は某友人の同僚の結婚式の二次会に招かれ、何故か文字について熱く語り合っていて、知らない間に日付を越しそうになっていて、何故か昨日の友人宅へ泊まることになったという濃い一日でした。

 昨日の投函で書いた ROCKY CHACK『リンゴ日和』も買えました。
 普段はジャケット写真まで載せないのですが、その絵柄から曲の雰囲気まですべて今年で一番のヒットなので載せてしまいます。

『リンゴ日和』ジャケット写真
狼と香辛料』エンディングテーマ
ROCKY CHACK『リンゴ日和』
2008.2.6/JVC/VTCL-35014/1,050円

 ゆったりとした4拍子のリズムに鍵盤楽器を中心としたブリティッシュな伴奏、英語を(わざと?)カタカナ読みしたような可愛らしいヴォーカルで、ほんわかとする一曲。
 この番組のオープニングテーマである清浦夏実『旅の途中』も気になったので調べてみたら、以前友人に「好きそう」と勧められて買った『風さがし』(『スケッチブック』OP)と同じ歌い手さん。作家陣は作詞が小峰公子さん、作・編曲が吉良知彦さんとのこと。早速動画サイトで試聴(?)して Amazon で注文してしまいました。
 私と好みの傾向が似ている人がいるとしたら間違いなくおすすめの2枚です。動画からむりやり録音したり配信で済ませたりするんじゃなくて、ちゃんとCDを買って聴いてください。そのぐらいいいんです。
 でも番組は既に終了しているので「気付くのが遅すぎる!」と言われそうだ……。
(BGM:ROCKY CHACK『リンゴ日和』)

2008.9.27(土) 16:15  509 秋めいて

 昨日から急に寒くなり、すっかり秋めいてきました。
 彼岸花に虫の声。夜の静かな冷たい空気。あたたかい食べ物・飲み物にお風呂に布団。いい季節になってまいりました。
 いつも夏は暑過ぎて創作活動が振るわないので、これから本腰を入れていきたいです。絵のリハビリはまだ必要そうだ。

 【写植部文字班】前回の投函でお尋ねした書体について、25日、書体デザイナーの佐藤豊さん(タイプラボ)から、瀬野敏春さんの「ピッコロ体」なのではとご教示頂きました。ありがとうございました!

 同日フジテレビ系列で放映された『とんねるずのみなさんのおかげでした』内『新・食わず嫌い王決定戦』のタイトルロゴとして使われていました。

新・食わず嫌い王決定戦ロゴ

 この書体は予想通りデジタルフォント化がされておらず、調べた限りマール社が1980年代に出版した『ピッコロ体字典』(絶版)にその形を残すのみとなっています。このように現役で使われており、ひそかな人気もあるようですので、できることならこの時代に使いやすい形態で再販してほしいものですね。

 ここ何日かで買ったCDです。

・藤田咲『Chrystal Quartz』(2008.9.24)
・livetune feat. 初音ミク『Re:package』(2008.8.)
・つじあやの『COVER GIRL2』DVD付き初回版(2008.9.24)

 『Chrystal〜』は VOCALOID「初音ミク」のキャラクターボイスとして知られる藤田咲さんのファーストシングル。“本物”が歌う声はほぼ初めて聴きました。キャラを作らない藤田さんの素の声は当たり前ながらミクとは大分違っていて、よく調整されたミクの方が上手なんじゃないかとか思ってしまいましたが(失礼)、じっくり味わってみたいと思います。
 一方で気になるのがミクが歌っている『Re:package』で、人間の歌手と比べても遜色ない作品たちなのかたいへん気になるところです。今日はこれから外出してしまうので近いうちのお楽しみにしたいと思います。

 果てしなく続く名曲発掘の旅。
 友人の車で聴いた『狼と香辛料』というアニメーションのエンディングテーマである ROCKY CHACK『リンゴ日和』とそのカップリング曲が好みな感じでした。1970年代の洋楽みたいな。調べてみたらなんのことはない、編曲が保刈久明さんでした。今日出掛けた先で買おう。
 このアニメも原作の小説も見たことはありませんが、世界観や(小説版の)絵柄がとても好みな感じです。これを機に見てみようかな。
 最近ますます目が離せない「ゆず屋」さん発行の『書体の研究 Vol. 1』でも紹介されている作品ですが、アニメ版のロゴは書体が違うんですねぇ。あのぬるっとした感じはフォントワークスの「筑紫明朝L」でしょうか。
(BGM:藤田咲『Crystal Quartz』、人に送るため編集中のCD-R用楽曲)

2008.9.24(水) 23:58  508 たずね書体

 【写植部文字班】友人に頼まれ、このCDのブックレットに使われている書体を探しています。

 米村裕美さんの『How are you?』というアルバム(1992.5発売)です。

米村裕美『How are you?』ブックレット
※画像クリックで拡大します

 このアルバムは1992年発売なので、おそらくデジタルフォントではなく、写植の“デザイナー書体”(たとえば「ピコカジュアル」とか、写植機メーカーの書体見本帳に載っていない書体)やマール社などの書体集からの集字なのではないかと推測します。
 画像が不鮮明で恐縮ですが、仮名を見ると「えれがんと」のようにくるんと丸まった装飾が施されていて、漢字も同じ処理がされているようです。仮名を見ると「ピコカジュアル」とよく似た傾向に見えるので、小塚昌彦氏が制作した書体なのではないかと思うのですが……。
 欧文は「Goudy Text」というブラックレター系統の書体ですが、手持ちの写植書体見本帳でこの書体を見付けることはできませんでした。
 何年か前に、遊佐未森さんの“ユサ書体”の原典を突き止めたことがあった(矢島週一「矢島図案文字五」)のですが、今回の書体はこれ以上はよく分かりませんでした。どなたかこの書体についてご存知の方がいましたらこっそり教えてください。

(※2008.9.27追記)解決しました。ありがとうございました!

 明日からお休みを頂き4連休、遅い夏休みです。
 どこかへ行ったり誰かに会ったりする予定はありませんが、宛てもなく動いてみようと思います。

2008.9.19(金) 23:58  507 【速報】中村征宏さん、新書体発売!

 【写植部文字班】「ナール」「ゴナ」などの作者としてあまりにも有名な書体デザイナー・中村征宏さん(中村書体室)が新書体を発売されました!

 「直明-U」[ちょくみん]といいます。(書体見本はこちら


「直明-U」組み見本から引用(画像クリックで拡大)

 写研の「大蘭明朝体」を超える太さの極太明朝体ですが、縦画と横画を直線とし、一般的な明朝体に見られる横画やハライなどの始筆の“おさえ”を省略したデザインです。そのためシャープですっきりとした印象で、極太明朝体でありながらあまり重々しくないように感じます。

 最近の見出しに見る明朝体といえば「丸明オールド」が過剰に使われている感があり、「相応しくないんじゃない?」という使われ方もしていて食傷気味なのですが、そこで直線的な極太の明朝体を出してきた、というのが中村さんの見出し明朝体に対する回答のように思えて興味深いです。

 中村さんが手掛けた書体で明朝体は初めてだと思いますが、長年ディスプレイ書体を制作されてきた方らしい新たな試みを施した面白い書体だと思います。

 仮名文字は中村さん独自と思われる一般的な字形ですが、混植用の仮名として何種類かヴァリエイションがあるとこの書体のコンセプトがさらに活かせるように思います。個人的には、「大蘭明朝体」の仮名のひとつ「UM-D」のように明朝体のエレメントを使ったまるっこい字形のものがあると嬉しいです(笑)。中村さん、ぜひご検討ください!(僭越ながら)

2008.9.18(木) 23:18  506 起点・終点

 【イラスト制作部】4年前から始めた落描き帳をようやく使い切りました。
 描く頻度が少ないのと、描く絵が小さいということでこれだけ時間がかかったのですが、やはり4年も経つと同じ描き手でも絵柄は変化します。

2004年と2008年の絵柄比較

 左はオリジナルキャラ、右は版権物(しかもディフォルメ気味の“因幡てゐ”)なので一概には比べられませんが、今までずっと落描きでは曖昧な線で描いていたのが、はっきり線を決めて細かいところまで描くようになっていました。作者の心境の変化なのかなぁ(謎)。
 5月から続けている“リハビリ”で、かつての調子を取り戻しつつあるような手応えを感じています。少なくとも作画に失敗することが少なくなりました。(先の残暑見舞い、色んな人に喜んだり驚いたりしてもらえて嬉しかったです。)
 こうして見ると、4年前の絵を描いた当時は無意識だった癖が、時間という距離をおいたことによって自分でも客観的に見えるようになり、どういうものに影響されてこのような絵柄になっているかが何となく判るので、そういう意味でも描き続けることは面白いなぁと思います。落描きだけでなく作品も15年前から殆ど全部保存してあって、たまに見返しては今の絵との違いを見て楽しんでいます(変人)。
 今度の落描き帳は右側のような絵柄が起点になりますが、全ページ描き切った頃にはどんな絵柄になっているのか、どんな自分がいるのか楽しみです。向上心を持って楽しんで描き続けていれば、の話ですが。

2008.9.14(日) 12:04  505 写植のうた

 【写植部+音楽制作部】先日入手した写研の社史『文字に生きる』を読んでいたら、年表に気になる記述がありました。

 「昭五〇 “写植のうた”作る」

 どんな歌だったのでしょうか。
 未確認情報では『写植手帖』というものに掲載されていたようです。

 活版デザイナーの澤辺由記子さん(temp press)が『ガラモンのうた』を制作されたように、印刷文字や書体と音楽が融合した表現はこれから更に試みられていくのではないかと思っています。
 『ガラモンのうた』を知って、私も「いつか『写植のうた』を作るぞ!」と意気込んでいたのですが、33年前に実現していたとは。じゃあ『ゴナのうた』とか『石井茂吉のうた』とか『こぶりなのうた』とか『はるひ学園のうた』とか作っ……(よしなさい)。
 『写植のうた』はJASRAC未登録曲のようですが、特に問題がなければ、この歌を編曲してVOCALOIDに歌ってもらい、うちで公開したいと思っています。

 歌詞だけでも、楽譜でも、「歌えます」という方でも、どなたかこの歌についてご存知の方がいらっしゃいましたらご連絡ください。

 【音楽制作部】周りに「カセットテープを捨てる」という人がいたので、それは勿体ないということで譲ってもらうよう頼んでしまいました。
 さすがに私もCDからのダビングはしなくなりましたが、生録音やレコード・ラジオといったアナログ音源からの録音に現役で使っているのでカセットテープが必要なのです。
 レコードからのダビングは溝が減るのを防ぐためですが、ラジオ放送や生録音は一度限りのものなので、簡単には内容が消滅しない録音媒体(アナログ方式)が適していると思うのです。
 そういったアナログ音源のデジタル化(バックアップ)もとりあえず検討していて、できるだけアナログに近い音を残すために、ソニーの「PCM-D50」というリニアPCMレコーダーが良さそうだと思っています。マニアックな話ですが、録音機が持つ24bitの分解能を16bitのCDフォーマットに織り込む「SBM」(ディザみたいなもの)が搭載されているというだけでも買いです。ソニーの高音質CDに使われているあのSBMが! という憧れの? 技術です。
 それはともかくとして、前置きが長くなりましたが、眠っているカセットテープがありましたら譲ってください。

 ・聞かれても困らないもの(消去して使いますが、一応)
 ・録音媒体として使用できるもの(カビなどの汚損や破損、テープのヨレがないもの)
 ・高級テープ、ハイポジション、メタルポジションだと嬉しいです
 ・もちろん未使用もOKです

 何百本もくれると言われても困りますが、よろしくお願いします。

 【音楽制作部】VOCALOID「初音ミク」のために書いている新曲はじわじわと作りつつありますが、それと並行して、編曲を投げ出してお蔵入りしていた曲を作り直したくなってしまいました。歌謡曲っぽいのでこちらは「鏡音リン・レン」に歌ってもらうつもりです。“音楽プロデューサーごっこ”がとても楽しいです(笑)。

2008.9.6(土) 13:31  504 “書体萌え”

 【写植部文字班】「ゆず屋」さんの『書体の研究 Vol. 1』が届きました。

『書体の研究 Vol. 1』表1

 A4オールカラー左綴じ40頁、「とらのあな」で945円でした。
 書体を全面に押し出した表紙は“同人”らしくなく、デザインの本のようで好感が持てます。本文は図版が大きく余白を活かしたデザインで、コンピュータ系の専門書のようで読みやすいです。書いてある内容はアレですが。「『書体萌え』という生き方が、ある」そうです。
 今回の特集は明朝体ということで、その成り立ちや特徴、エレメント(書体を構成する要素。「うろこ」など)についても充分な説明がなされており、きちんと基礎から押さえてあるのがよいです。
 連載記事としては、アニメや小説などのロゴに使われている書体を特定し、それを再現するという企画があるのですが、たしかな書体眼と再現性だけでなく、解説も面白くて読み応えがあります。
 書体に関する書籍や話題には何かと堅苦しい印象がある(主観)のですが、こういった「書体が使われている側」からの視点で楽しんでいる(“萌え”ている、らしい)という書体への接し方や表現の仕方は新しい。続刊が末永く続くことを心から願います。私も本作らないかんな。

 【写植部文字班】博報堂の季刊誌『広告』2008年9月号に、「文字の引力」などでいつもお世話になっているフォントコーディネーターの伊藤義博さん(株式会社文字道)が紹介されていました!
 私と同じく写植が大好きな方で、活版・写植・DTPといった印字の手段を問わず、使いたい書体を使える会社や人を紹介するお仕事をされています。
 今回この『広告』という雑誌のリニューアルにあたり、2007年末に発売されたばかりの『漢字タイポス』を紹介したのも伊藤さんだそうです。
 雑誌のほぼ全体が漢字タイポスで組まれており、広告に関する記事の内容だけでなく文字を眺めているだけでも楽しいです。写植では仮名書体だった『タイポス』は1970年前後に爆発的に使われたので、一般的に「懐かしい」という印象が定着しているようですが、この雑誌では組み方が今っぽく(見出しなのにベタ組とか)、見たことがなかった漢字も使われているのでとても新鮮に見えます。
 リニューアル前に使われていた書体は判りませんが、タイポスの可愛らしく親しみやすい表情によって、商売のための表現という広告が持つ押しの強さを和らげ、読者との距離を近付けることに成功しているように思います。
 今号は蛍光ピンクの背景にたむらけんじ氏の写真です。88頁『メディアの秘密』にて。伊藤さんからメールを頂き、「立ち読みでも一読いただけたら幸いです」とのことでした。

 【音楽制作部】9月3日から新曲の作曲を始めました。
 今回も“詞先”(歌詞をもとに作曲する)で作ることにしたため1番の歌詞があるとはいえ、相応しいメロディと伴奏がなかなか思い浮かばず、前作よりも時間がかかりそうです……。

2008.9.2(火) 23:34  503 縦組み・横組み

 【写植部文字班】昨日の朝のテレビ番組『めざましテレビ』を見ていたら、「縦書きと横書き、どっちが好き?」というような街頭アンケートをやっていました。
 結果の傾向は、若い世代ではパソコンや携帯電話で慣れている横書き(横組み)、年輩の世代では本や手紙などで慣れている縦書き(縦組み)が過半数を占めていました。
 この調査のインタヴューでは「横書きの方が読みやすい」というような回答も放映されていて、放送を見る限り「読みやすい組み方向は慣れに左右される」という結論を得たように見えました。

 コンピュータや携帯電話の画面がたまたま横組みだったから横組みがここまで浸透したのでしょうけど、もしこれらが日本語を扱えるようになった際、「やっぱり日本語は昔ながらの縦組みが相応しい。改行による文字数のロスが少なくて一画面あたりの文字数の効率がいい」などとして、縦組みの情報機器が標準になっていたら、今こんなに縦組みが少なくなることはなかったかもしれません。
 私個人としては、横組みは理系、学術的、気軽に読める。縦組みは文系、文学的、言葉を大切にしている……という印象です。メモや日記は横書きですが、手紙は縦書きが好きだなぁ。戸籍は縦組みの方が有難味があって格好いいなぁ(そういう問題ではないか)。
 パソコンは画面が横長だから横組みが楽だけど、ペンや筆を使って縦に書くと、引っ掛かりなく文字を速く綺麗に書けるので、日本語は字形からして縦書きが適しているんだろうと私は思っています。

 【音楽制作部】8月31日に某動画サイトへ投稿した歌にコメントがついていました。
 第1作だと判るようになっているので控えめなコメントなのかもしれませんが、それでも「爽やかなやさしい歌でした」「かわいい」「こういう曲調が好き」というようなあたたかいコメントを見ると、少なくとも自分以外の誰かが楽しんでくれたことが、涙が出るほど嬉しかったです。
 「作曲辞めんで本当によかった。11年細々とやってきた甲斐があった」と、初めて報われたと思いました。

 「音楽制作部」はなかなか自分で納得がいく作品が出来ず、2007年半ばで廃止するつもりだったんです。「イラスト制作部」も活動終了の一歩手前でした。ここ3〜4年画力は落ち続け、描くのが辛い作品もあったのですから。
 以前、「いくつもやりたい事があってなかなかうまく出来ない」と知り合いに話したら、「一つに絞ればいい。時間がなくてもやる事が本当に好きな事だ」と言われたことを書いたと思うのですが、(初音ミクがきっかけで)作曲も絵も手放すことなく復帰させられた今、「強い思いがあれば、好きなことは好きなんだから絞らなくても工夫で何とでもなる」と反論できると思います。
 それでもどうしても時間がなかったとしたら、それができるようになるまで耐えて、そのうち自然に復帰するんじゃないかな。興味がなくなったんじゃなくて、好きなことなんだから。

 No. 501 の投函から、記事の頭に「【】」で括った部署名を書くことにしました。
 亮月製作所は会社ではなく個人サークルなので活動内容のジャンルをこう呼んでいるだけなのですが、記事の最初の1行を見れば大体の内容が判るようにしてみようと思って付けました。

 こんな感じです↓

(無印)日常の話題・感想・サイト運営など管理人の日々の記録
【企画部】どこか行きました・イベント参加しました・主催しました
【写植部】写植に関係する活動・資料(メイン)
【写植部文字班】写植以外の文字関係全般
【イラスト制作部】イラスト作品・落描き
【音楽制作部】作詞・作曲・編曲・楽器・MIDI・DTM・VOCALOID関係
【書体制作部】オリジナル書体

(※他にもたくさん部署がありますが活動しているのは私一人です)

 ブログには「カテゴリー別」に分類する機能があるようですが、HYMLでは難しいし、「話題別に日記を書いてほしい」というご意見を頂いたことがあるので、若干読みにくくなりますがご了承くださいませ。苦情が多いようでしたら表示は止めます。

2008.8.31(日) 22:24  502 ハッピーバースデイ

 【音楽制作部】今日は初音ミクの誕生日(発売日)だったので、記念に某動画サイトへ投稿しました。

 6月に作った『青空の向こうへ』をミクの段階から再調整し、この3日間で動画の作り方を覚えての制作でした。動画づくりは全くしたことがなく、簡単な口パク動画+字幕であってもMacとWindowsを行き来しなければならずかなり骨が折れました。3日間の制作(仕事・外出はしてるけど)でヘロヘロに疲れました。

 歌は6月公開版について「“調教”がんばれ〜」と言われていた(→No.500参照)ものの、自分としては充分に調整をしたつもりだったので、おかしい所はない! と思っていました。
 でも、客観的に聴いて気になるからには、どこかがおかしい筈だと思い、VOCALOID の調整法について色々と調べ、それをやってみたところ、たしかに6月版のミクは結構音痴だったようだ、ということが判りました。

 富田靖子さんとか大場久美子さんとか、“特殊な歌い方”の歌を聴き過ぎて慣れてしまったのか(笑)。音程への許容範囲が広すぎることに自分でも驚きました。

 それはそうと、某所で私の動画を見かけたらびしびしコメントしてやってください。「亮月製作所」絡みの言葉はダメです(笑)。

 ついでに動画に使った手直し版の『青空の向こうへ』も音楽制作部にアップしましたので、よかったら聴いてやってください。おめでとう初音ミク。

2008.8.26(火) 22:45  501 意欲を貰う

 23日(土曜日)の「亮月研」はとても充実した楽しい催しになりました。
 詳しくは活動報告をご覧くださいませ。参加者の皆様、ありがとうございました!

 【写植部文字班】
 最近面白いなと思っているサイトさんを紹介(引用)します。順不同です。
 うちは情報が旧いので既知の方が多いと思いますが、自分のために記録を。

しろもじメモランダム」(mashabowさん)
 文献から日常の出来事まで、文字に関する話題が豊富で深い考察がなされているブログ。勉強させていただいております。

20代デザイナーの文字組」(宮原誉英さん)
 20代(2008年現在)で現役デザイナーの方が文字組に取り組む様子を書かれています。オリジナル書体やレタリング教則本もあり!

遠近法ノート」(西岡裕二さん)
 本好きのデザイナーさんのブログ。DTPにおける組版の話題から、有名な『萌える和文フォントを探すのよっ!』のような笑える記事まで多種多彩。

フォントと同人の不適切な関係」(クロノさん)
 フォント好きな同人作家さんのブログ。同人誌などでフォントを使ったり選んだりする楽しさを目一杯伝えてくれます。私も片足突っ込んでるだけにとても共感できます。用例が多いのもよいです☆

実験る〜む」(あさうすさん)
 Windows DTP に関する話題を軸にしているブログ。きわめて専門的かつ面白く、こちらも勉強させていただいております。モリサワ『はるひ学園』の謎もこちらで解決(?)。

 以下は「しろもじ〜」さんの記事から独断と偏見で引用させて頂きます(勝手にすみません)。

ゆず屋
 漫画などの話題と同人活動のブログ。オタクのためのフォント読本『書体の研究』(同人誌)は、ありそうでなかったオタク視点から書体を探る本。見る限りデザインも完成度も良さそう! これはまいったな〜。所持フォントもかなり多そうですごい。

オタクとデザイン」(染谷さん)
 プロデザイナーによる同人活動のサイト。「オタク」と「デザイン」という関係なさそうでとても関係のあるジャンルを結び付けるような創作活動をされています。

 私の時間はゆっくりと流れていますので、こういったサイトさん(や、同人誌)を見ると、どんどん置いて行かれそうで「私は何をやっているんだ!(何にもしてない?)」ととても気が焦ります。と同時に「自分も本を作りたい!」という強い創作意欲を貰います。
 亮月製作所が今後どこへ行くのかは私にもはっきりとは分かりません。活動の軸にしている写真植字は勿論ですが、好きでやっているイラスト然り、音楽然り、デザイン然り、「素人でもここまでできるんだ」と言われるような域に達するところまでは(私が見聞きする限り)できる筈ですから、「諦める前にやれるところまでやってみよう」という意気込みでやり続けます。

 【イラスト制作部】残暑見舞は25日に投函しました。
 しばらく曲づくりに集中するかもしれません。
 それでも何か伝えたくなったらここに書くつもりです。

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